【連載第1回】私のフカセ・カゴ釣りタックル全公開 – チヌ釣り用ロッド編

【連載予定】

  • 第1回:チヌ釣り用ロッド編(本記事)
  • 第2回:グレ釣り用ロッド編
  • 第3回:カゴ釣り用ロッド編
  • 第4回:フカセ釣り用リール編
  • 第5回:カゴ釣り用リール編

磯釣りを本格的に始めて数年、試行錯誤を重ねながら辿り着いた私のタックルを、全5回に渡って詳しくご紹介していきます。第1回目は、チヌ(クロダイ)釣り用のロッドについてです。

チヌ釣りに求められるロッドの条件

チヌ釣りのロッドには、他の魚種とは異なる独特の要求があります。チヌは警戒心が強く、繊細なアタリを確実に捉える感度が必要です。同時に、掛けた後は強烈な引きでハエ根や障害物に潜り込もうとするため、魚をいなしながらも確実に浮かせるパワーとしなやかさが求められます。

私が現在使用しているチヌ竿は3本。それぞれに明確な個性があり、状況に応じて使い分けています。

がまかつ アテンダー3 0号 5.3m – 繊細さの極致

【基本スペック】

  • 号数:0号
  • 全長:5.3m
  • 自重:約175g
  • 適合ハリス:0.6〜1.5号

アテンダー3の0号は、チヌ釣りの醍醐味である「繊細さ」を極限まで追求したロッドです。2023年秋に登場したアテンダー3は、前作のアテンダー2から12年ぶりのフルモデルチェンジとなり、がまかつの最新技術が惜しみなく投入されています。

最新技術の結晶

タフマトリックスシステムを搭載し、史上最高クラスの強度を誇るTORAYCA T1100Gカーボンを多方向に展開。従来は縦繊維のみだった使用を多方向化することで、曲げやつぶれに対する強度を飛躍的に向上させています。

**ウルトラASD(アクティブサスデザイン)**により、振出竿の継ぎ目の段差を極限まで削減。ワンピースロッドのようなスムーズな曲がりを実現しており、魚の不意な突っ込みでも竿全体でしっかり受け止めます。

実釣での使用感

0号という細さでありながら、穂先がだれずにシャキッとした張りがあるのが最大の特徴です。思ったところに仕掛けを打ち込むことができ、ライン操作も非常にしやすい。穏やかな磯や堤防での繊細な釣りに最適で、風の弱い日や警戒心の強いチヌを相手にする時に真価を発揮します。

魚を掛けた後はしっかりと曲がって引きを吸収してくれるため、魚が怒らず、連れて行きたい方向に付いてきてくれる感覚があります。まさに「魚を掛けている時にニヤッとできる竿」という表現がぴったりです。

使用シーン

  • 波の穏やかな磯や堤防
  • 風が弱く、繊細な仕掛けが扱いやすい日
  • 警戒心の強いチヌを狙う時
  • 小型から中型のチヌがメインの時

がまかつ アテンダー3 0.6号 5.3m – オールラウンダー

【基本スペック】

  • 号数:0.6号
  • 全長:5.3m
  • 自重:約185g
  • 適合ハリス:0.8〜2号

0号よりも若干パワーがあり、チヌ釣りの汎用性が最も高いロッドです。多少の風や潮の流れにも対応できるため、天候が読めない時や、条件の変化に対応したい時に最適です。

バランスの良さが魅力

0.6号という号数は、繊細さとパワーのバランスが絶妙です。穂先の感度は0号に引けを取らず、魚を掛けた後のやり取りでは、より余裕を持って対応できます。中型から良型のチヌまで安心してやり取りできる懐の深さがあります。

実際の使用でも、アテンダー3特有の「はじめの突っ込みを受け止めてしっかり胴に乗ってくれる」特性により、ハエ根が点在するような場所でも慎重にやり取りができます。竿が魚の暴れる感じを抑え、安心して曲げることができる安定感があります。

使用シーン

  • 天候が読めない日のオールラウンド使用
  • 多少の風や潮の流れがある場所
  • 中型〜良型のチヌが混じる可能性のあるポイント
  • 迷った時のファーストチョイス

がまかつ チヌ競技スペシャルⅣ 0.6号 5.3m – 競技仕様の本格派

【基本スペック】

  • 号数:0.6号
  • 全長:5.3m
  • 自重:約175g
  • 適合ハリス:0.6〜1.5号

競技会を想定して設計された、最も先鋭的なチヌロッドです。2021年に登場した第4世代は、前作から操作性と粘り強さが大幅に向上しています。

競技仕様の設計思想

チヌ竿というと細身で柔らかく、扱いにくいイメージがあるかもしれません。しかし、競技スペシャルⅣは「操作時はシャープ、掛けてからは胴調子」という理想的な特性を実現しています。

TORAYCA T1100Gカーボンの採用により、シャープでありながら柔軟性を併せ持つ設計。魚を掛ける前は張りがあって穂先が垂れにくく、細い号数でも非常に扱いやすい。0.6号でも穂先がシャキッとしていて、振り込みがしにくかったり穂先を折ってしまうリスクが低減されています。

実釣での優位性

同じ0.6号のアテンダー3と比較すると、より先調子寄りの味付けで、シャープな調子と高感度が際立ちます。素早いアワセや繊細なライン操作が求められる状況で威力を発揮します。

魚を掛けた後は、テンションを掛けても叩きを抑え、竿全体で荷重を受け止めて魚を柔軟にいなす調子。胴まで浮かせて粘り込み、しなやかに浮かせるパワーで獲る性能は、前作の競技スペシャル3から大きく進化しています。

競技でのファイト時間短縮にも威力を発揮し、叩かずに浮かせて獲ることが可能。藻場や障害物周りでの大型チヌとの対峙でも、その真価を発揮します。

使用シーン

  • 競技会や手返しを重視する釣行
  • テクニカルなライン操作が必要な場面
  • 障害物周りでの大型チヌ狙い
  • より先調子寄りの操作感を求める時

リールシートとグリップの違い

アテンダー3と競技スペシャルⅣでは、リールシートとグリップにも違いがあります。

アテンダー3は、ライトブルーのイメージカラーでシルバーパーツで統一。透明感のあるメタリックレッド仕様の赤色部分が美しく、落ち着いた高級感があります。

競技スペシャルⅣは、レッドメタルの印象的な凹凸のあるデザイン。グリップは競技特化型で、フィット感はがまかつの竿の中で一番という評価もあります。べたつき防止の凹凸デザインが実戦での使いやすさに貢献しています。

3本の使い分け戦略

私のチヌ釣りでは、この3本を以下のように使い分けています。

穏やかな条件 → アテンダー3 0号 繊細な釣りを楽しみたい時、チヌとのやり取りを存分に味わいたい時の選択。

標準的な条件 → アテンダー3 0.6号 迷った時のファーストチョイス。どんな状況でも安定した性能を発揮。

テクニカルな釣り → 競技スペシャルⅣ 0.6号 手返しや操作性を重視する時、より積極的に攻めたい時の選択。

まとめ

チヌ釣りは、繊細さと力強さ、両方が求められる釣りです。アテンダー3の2本は、胴調子の魅力を活かしながらも高い操作性を実現しており、魚とのやり取りを存分に楽しめます。競技スペシャルⅣは、より先鋭的な性能で、テクニカルな釣りに対応します。

次回の第2回では、グレ(メジナ)釣り用ロッドについて詳しくご紹介します。大型グレを相手にしたパワーゲームに必要な、より強靭なロッドたちの世界をお楽しみに。


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