【連載第3回】私のフカセ・カゴ釣りタックル全公開 – カゴ釣り用ロッド編
第3回は、カゴ釣り用のロッドについてご紹介します。フカセ釣りとは全く異なる、遠投性能とパワーが求められるカゴ釣りの世界。大型青物を本気で狙うための、3本の強靭なロッドたちを解説します。
カゴ釣りロッドに求められる性能
カゴ釣りは、重いカゴ仕掛けを遠投し、ブリやヒラマサといった青物を狙う豪快な釣りです。ロッドには以下の性能が必須となります。
- 重量仕掛けを遠投できるパワーと反発力
- 大型青物の強烈な引きに耐える強度
- 長時間の使用でも疲れにくい操作性
- シャープな振り抜けと感度
フカセ釣りの繊細さとは対極にある、力強い釣りを支えるロッドが必要です。
がまかつ カゴスペシャルⅣ 3.5号 5.3m – 万能スタンダード
【基本スペック】
- 号数:3.5号
- 全長:5.3m
- 自重:約350g
- 錘負荷:8〜20号
- 適合ハリス:4〜10号
カゴスペシャルⅣは、私のカゴ釣りにおける主力ロッドです。3.5号という号数は、カゴ釣りのスタンダードとも言えるバランスの良さを持っています。
遠投性能と操作性の絶妙なバランス
カゴ釣りでの遠投性能と大型魚とのやりとりに重点を置いて開発されたロッドです。がまかつ独自の**ASD(アクティブサスデザイン)**により、効率よく胴部までパワーを伝え解き放てる遠投仕様を実現しています。
TORAYCA T1100Gと**NANOALLOY(ナノアロイ)**を採用することで強度を確保するとともに軽量化を図り、持ち重りを排除したシャープな振り抜けを実現。細身肉厚設計により、竿全体を細身にすることで振り抜きのシャープさを追求しています。
実釣での万能性
3.5号は「軽快さと振り抜きを重視しながら、パワーも融合した新設計モデル」として開発されています。マダイ、イサキ、大型グレ、メジロ(ワカシやイナダ)など、幅広いターゲットに対応できます。
穂先の感度が非常に良く、カゴの着水やタナの取りやすさも魅力です。遠投時の振り抜け感は爽快で、狙ったポイントに正確に仕掛けを届けることができます。
最新のⅣモデルは、前作から軽量化と強度のバランスがさらに向上しており、一日中使っていても疲れにくい設計になっています。
使用シーン
- 通常のカゴ釣り全般(メインロッド)
- マダイ、イサキ、大型グレ狙い
- 中型青物(メジロ、ワラサ)対応
- 遠投性能と操作性を重視したい時
適合リール
- ステラSW 8000HG
- ツインパワーSW 8000PG
- スフェロスSW 6000HG
がまかつ ヒラマサ天剛2 H 5.0m – ヒラマサハンター
【基本スペック】
- パワー:H(ハード)
- 全長:5.0m
- 自重:約460g
- 錘負荷:8〜20号
- 適合ハリス:4〜12号
その名の通り、ヒラマサを本気で獲るために設計された専用ロッドです。「磯のスプリンター」と呼ばれるヒラマサの疾走を受け止めるため、強靭なバットパワーが追求されています。
細身肉厚設計の真価
初代ヒラマサ天剛から進化した第2世代は、初代よりも軽量化を図り、細身肉厚設計にすることで、評価の高かった粘り腰を飛躍的に向上させています。
この粘りにより魚が暴れにくく、さらに魚の引きに柔軟に対応することで、釣り人への負担も軽減。メータークラスのヒラマサでも非常にとりやすい竿になっています。
根ズレ対策の革新
特筆すべきは、根ズレ対策です。竿に必要以上の反発力を抑えているため、ハリスに掛かるプレッシャーが少なく、従来なら切られていたヒラマサが獲れることを、テストでも実証しています。
10kg超のヒラマサとのファイトでも安心して挑める信頼性。IMチタンフレームSICガイドとオールチタニウムガイドを採用し、ノンスティック加工により糸がガイドに張り付きにくく、スムーズなやり取りが可能です。
やや短めの5.0mという選択
一般的なカゴ竿が5.3mであるのに対し、ヒラマサ天剛2は5.0mと短め。これはパワーファイト特化の設計思想によるものです。磯際での取り込みもコントロールしやすく、大物とのやり取りで真価を発揮します。
使用シーン
- ヒラマサの本格狙い
- 大型青物専用(10kg超対応)
- 根の荒い磯でのパワーゲーム
- 離島遠征や荒磯での使用
- ここ一番の勝負竿として
適合リール
- ステラSW 14000PG(ベストマッチ)
- ステラSW 8000HG
がまかつ 汐来坊2 MH 4.5m – 近距離戦のスペシャリスト
【基本スペック】
- パワー:MH(ミディアムハード)
- 全長:4.5m
- 自重:約380g
- 継数:5本
コンパクトながらパワフルな、近距離戦用のカゴロッドです。4.5mという短さが最大の特徴で、他の2本とは全く異なる用途を持っています。
短竿ならではのアドバンテージ
4.5mという短さは、足場の悪い磯や狭いポイントでの取り回しが抜群です。5.3mや5.0mのロッドでは振りにくい状況でも、汐来坊2なら快適に使えます。
MHパワーで中型から大型まで対応でき、シャクリやすさも魅力の一つ。短い分だけロッドのパワーが集中しており、魚とのやり取りでダイレクトな感覚を味わえます。
近距離の潮通しが良い磯で真価を発揮
潮通しの良い磯の際を攻める時に最適です。遠投する必要がない近距離のポイントでは、短竿のメリットが際立ちます。
パワーとレスポンスの良さが光り、魚を掛けた後の操作性は長竿にはない機動力を感じさせます。ピンポイントを狙いやすく、狙ったタナに正確に仕掛けを送り込めます。
使用シーン
- 足場の悪い磯や狭いポイント
- 近距離戦(30〜50m程度の遠投)
- 潮通しの良い磯の際攻め
- 機動力を活かしたテンポの良い釣り
- サブロッドとして
適合リール
- スフェロスSW 6000HG(ベストマッチ)
- ステラSW 8000HG
3本の使い分け戦略
私のカゴ釣りでは、この3本を明確に使い分けています。
標準的なカゴ釣り → カゴスペシャルⅣ 3.5号
マダイ、イサキ、中型青物など、通常のカゴ釣り全般に対応。遠投性能と操作性のバランスが最も良く、一日中使っても疲れにくい。迷った時のファーストチョイス。
大型ヒラマサ狙い → ヒラマサ天剛2 H
10kg超のヒラマサを本気で狙う時の選択。パワーと粘りで大物を制圧。離島遠征や、記録に残る一匹を狙う勝負竿。
近距離・狭い場所 → 汐来坊2 MH
足場の悪い磯や、遠投の必要がない近距離ポイントでの使用。機動力を活かしたテンポの良い釣りに最適。
カゴスペシャルⅣの細かな設計思想
カゴスペシャルⅣは、細身肉厚設計により竿全体を細身にすることで、振り抜きのシャープさを狙っています。そのため、元ガイド上からの仕舞いが長めに設定されています。
先径2.3mmという細さでありながら、硬質感が凄い。継ぎ数が5本で、全体のバランスを考慮した設計になっています。細身でありながら十分な強度を持ち、遠投時のパワー伝達が非常にスムーズです。
ヒラマサ天剛2とインテッサG5の違い
第2回で紹介したインテッサG5とヒラマサ天剛2は、同じ大物狙いでも明確に性格が異なります。
インテッサG5 1.75号
- 用途:フカセ釣りでの大型グレ、尾長グレ
- 特徴:全角度対応調子、操作性と粘りの両立
- 釣法:繊細なフカセ釣りから大物まで対応
ヒラマサ天剛2 H
- 用途:カゴ釣りでの大型ヒラマサ専用
- 特徴:強靭なバットパワー、根ズレ対策
- 釣法:遠投カゴ釣りでのパワーゲーム
インテッサG5はオールラウンダー、ヒラマサ天剛2はヒラマサ専用機という位置づけです。
号数とパワー表記の違い
フカセ竿は「号数」(0号、0.6号、1.5号など)で表記されますが、カゴ竿は「号数」または「パワー」(H、MH、Mなど)で表記されます。
カゴスペシャルⅣ → 3号、3.5号、4号という号数表記 ヒラマサ天剛2 → H、MHというパワー表記 汐来坊2 → MH、Mというパワー表記
同じメーカーでもシリーズによって表記が異なるため、購入時は適合錘負荷とハリス号数を確認することが重要です。
メンテナンスの重要性
カゴ釣りは遠投を繰り返すため、ロッドへの負担が大きい釣りです。特に継ぎ目部分の定期的なチェックとメンテナンスが重要です。
- 釣行後は必ず真水で洗浄
- 継ぎ目の砂や塩を丁寧に除去
- ガイドの状態を定期的に確認
- 保管は専用のロッドケースで
特にヒラマサ天剛2のようなハイエンドモデルは、適切なメンテナンスで長く使い続けることができます。
まとめ
カゴ釣りは、フカセ釣りとは全く異なる豪快さが魅力です。カゴスペシャルⅣ 3.5号は日常的なカゴ釣りの主力として、ヒラマサ天剛2 Hは大型ヒラマサ専用の勝負竿として、汐来坊2 MHは近距離戦のスペシャリストとして。
この3本があれば、あらゆるカゴ釣りシーンに対応できます。状況に応じて最適な一本を選び、大型青物との格闘を楽しんでください。
次回の第4回では、フカセ釣り用リールについて詳しくご紹介します。シマノBBXテクニウムの真価と、レバーブレーキリールの魅力をお楽しみに。
【連載予定】
- 第1回:チヌ釣り用ロッド編
- 第2回:グレ釣り用ロッド編
- 第3回:カゴ釣り用ロッド編(本記事)
- 第4回:フカセ釣り用リール編
- 第5回:カゴ釣り用リール編







